「アメリカ人が形成されるのは、彼自身が他のあらゆる絆や歴史を拒み、自ら進んでこの養子の地の衣をまとうところから始まる」

- 1924年8月2日~1987年12月1日(63歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 作家、評論家、公民権運動家
英文
”The making of an American begins at the point where he himself rejects all other ties, any other history, and himself adopts the vesture of his adopted land.”
日本語訳
「アメリカ人が形成されるのは、彼自身が他のあらゆる絆や歴史を拒み、自ら進んでこの養子の地の衣をまとうところから始まる」
解説
この言葉は、アメリカ的アイデンティティの成立条件を描いている。アメリカ人となるには、出自や旧来の歴史的つながりを断ち切り、新たな土地に自己を重ね合わせる必要があるとボールドウィンは指摘する。つまり、アメリカ人であることは選択であり、旧世界からの断絶を前提とする創造的行為なのである。
ボールドウィンがこの言葉を語った背景には、移民国家アメリカの特質がある。ヨーロッパからの移民は、自らの過去を切り捨て、アメリカという新しい共同体に同化することで「アメリカ人」となった。しかし、黒人や先住民には同じ選択が許されなかったという矛盾が存在し、その不平等がアメリカの歴史を規定していた。
現代においても、この言葉は重要な示唆を含む。グローバル化が進む中で、アイデンティティは固定されたものではなく、選択と断絶を伴って形成される。新しい共同体の一員となるには、過去をどう扱い、新しい「衣」をどうまとうかという問題は、今も普遍的なテーマである。
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