「ヨーロッパには、私たちがまだ持っていないもの――人生の神秘的で逃れがたい限界、つまり悲劇の感覚がある。そして私たちには、彼らが切実に必要としているもの――人生の可能性の感覚がある」

- 1924年8月2日~1987年12月1日(63歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 作家、評論家、公民権運動家
英文
”Europe has what we do not have yet, a sense of the mysterious and inexorable limits of life, a sense, in a word, of tragedy. And we have what they sorely need: a sense of life’s possibilities.”
日本語訳
「ヨーロッパには、私たちがまだ持っていないもの――人生の神秘的で逃れがたい限界、つまり悲劇の感覚がある。そして私たちには、彼らが切実に必要としているもの――人生の可能性の感覚がある」
解説
この言葉は、文化的経験の違いが人々の人生観を形作ることを示している。ヨーロッパは長い歴史の中で戦争や社会の崩壊を経験し、人生には超えられない限界や悲劇が存在するという感覚を強く持っている。一方、アメリカは新しい社会として、未来への希望や可能性に重きを置く姿勢を特徴としてきた。
ボールドウィンがこのように語った背景には、旧大陸と新大陸の精神的差異があった。ヨーロッパの人々は歴史の重みによって悲劇的感覚を備えていたが、アメリカ人はその歴史的負担が比較的軽い分、自由や進歩の可能性を信じやすかった。ボールドウィンは両者の対比を通じて、人間に必要なのはその両方であることを暗示している。
現代においても、この洞察は普遍性を持つ。悲劇の感覚を欠いた社会は軽薄に流れやすく、可能性の感覚を欠いた社会は停滞と絶望に陥る。人生の限界を受け入れつつ、その中で新たな可能性を模索する姿勢こそが、個人にも社会にも必要とされる均衡である。
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