「自らの信念に忠実であり続けることが不可能であり、かつそれから自由になることも同じく不可能であると直面したとき、人は最も非人間的な過激さへと駆り立てられることがある」

- 1924年8月2日~1987年12月1日(63歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 作家、評論家、公民権運動家
英文
”Confronted with the impossibility of remaining faithful to one’s beliefs, and the equal impossibility of becoming free of them, one can be driven to the most inhuman excesses.”
日本語訳
「自らの信念に忠実であり続けることが不可能であり、かつそれから自由になることも同じく不可能であると直面したとき、人は最も非人間的な過激さへと駆り立てられることがある」
解説
この言葉は、人間が信念と自由の板挟みに置かれたときの危うさを示している。信念に従い続けることが不可能でありながら、それを完全に手放すこともできないという状況は、深刻な矛盾を生む。その矛盾が極端な行動や暴力的な反応へと人を追い込むのである。
ボールドウィンがこの洞察に至った背景には、20世紀半ばのアメリカ社会の矛盾がある。例えば、民主主義を掲げながら人種差別を維持する国家という現実は、信念と行動の乖離を露わにした。人々は理念を裏切ることも、理念を放棄することもできず、その結果として抑圧や暴力に走ることがあったのである。
現代においても、この言葉は鋭い警告となる。宗教的、政治的、あるいは社会的信条が個人や共同体を縛るとき、それを守ることも捨てることもできない状況が生まれる。矛盾した信念に囚われた人間は理性を失い、非人間的な行為に走る危険があるという示唆は、今なお世界各地で繰り返される現実である。
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