「私は寓意を嫌う——意識的で意図的な寓意を。しかし、神話やおとぎ話の趣旨を説明しようとする試みは、寓意的な言葉を使わざるを得ない」

J・R・R・トールキン
J・R・R・トールキンの名言
  • 1892年1月3日~1973年9月2日
  • オレンジ自由国(イギリス人)出身
  • 作家、言語学者
  • 『ホビットの冒険』や『指輪物語』などを執筆し、現代ファンタジー文学の礎を築いた

英文

“I dislike Allegory – the conscious and intentional allegory – yet any attempt to explain the purport of myth or fairytale must use allegorical language.”

日本語訳

「私は寓意を嫌う——意識的で意図的な寓意を。しかし、神話やおとぎ話の趣旨を説明しようとする試みは、寓意的な言葉を使わざるを得ない」

解説

この名言は、トールキンの創作哲学を端的に表している。彼は、特定のメッセージや教訓を直接的に伝えようとする意図的な寓意(アレゴリー)を嫌う一方で、神話やおとぎ話が読者に与える意味を解釈し説明する際に、結果的に寓意的な表現を使わざるを得ないことを認めている。この矛盾した立場は、物語の多層性と自由な解釈の重要性を反映している。

トールキンの作品はしばしば深いテーマや普遍的な真理を扱っているが、それらは直接的な寓意として提示されるのではなく、物語の中に自然に溶け込んでいる。たとえば『指輪物語』では、指輪が権力の誘惑やその危険性を象徴する一方で、それが特定の出来事や個人を直接表すわけではない。このように、物語は読者に解釈の自由を与えながらも、共感や深い理解を引き出す力を持つ

現代において、この言葉は物語や芸術作品をどのように受け止め、解釈するかについての指針となる。トールキンは、物語の中に込められた意味を押し付けるのではなく、読者自身がそこから自分なりの洞察を得るべきだと考えていた。作品を固定的な解釈に閉じ込めず、読者の想像力や感性を信じることが、彼の創作哲学の核心であることを、この名言は雄弁に物語っている。

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