「皮肉にも、この軍事学者がそういう発表をしている一七八九年はフランス革命勃発の年であります」

- 1889年1月18日~1949年6月15日(60歳没)
- 日本出身
- 陸軍軍人、戦略家、思想家、著述家
原文
「皮肉にも、この軍事学者がそういう発表をしている一七八九年はフランス革命勃発の年であります」
解説
この言葉は、歴史の偶然性と必然性の交錯を示すものである。ある軍事学者が一七八九年に戦争や軍事に関する理論を発表したが、その同じ年にヨーロッパの秩序を根底から覆すフランス革命が勃発したという事実を指摘している。ここで石原莞爾が強調しているのは、理論や学説と現実の歴史的事件が皮肉なまでに重なり合うことである。
背景として、フランス革命は近代社会の出発点ともいえる大事件であり、政治・社会・軍事すべての構造を変化させた。石原は軍事学者として、歴史を軍事の観点から見ると同時に、大きな社会変革が軍事や国家戦略を根本から揺るがすという点を強調したと考えられる。この指摘には、学問的理論が現実の激動の前では不意に色あせてしまうという含意がある。
現代社会においても、学問や政策の理論と現実の出来事との間にはしばしばずれが生じる。例えば、経済学の理論とリーマンショックのような現実の危機との間には大きな落差があった。石原の言葉は、理論に安住するのではなく、現実の歴史的変化を直視しなければならないという警告であり、社会や国際関係を考える上で今なお示唆に富むものである。
余談だが、石原莞爾が指しているある軍事学者とは、ジャック・アントワーヌ・ギベールである可能性が高い。彼はフリードリヒ大王のもとを訪れて学んでおり、理論的にも機動重視の用兵論を主張しているため、整合している。
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