「人類の前史は将に終ろうとしていることは確実であり、その年代は数十年後に切迫していると見なければならないと思うのであります」

石原莞爾(画像はイメージです)
  • 1889年1月18日~1949年6月15日(60歳没)
  • 日本出身
  • 陸軍軍人、戦略家、思想家、著述家

原文

「人類の前史は将に終ろうとしていることは確実であり、その年代は数十年後に切迫していると見なければならないと思うのであります」

解説

この言葉は、石原莞爾が人類史の大転換が近未来に訪れると予見したものである。彼は「最終戦争論」において、人類の歴史を「前史」と「本史」に分け、前史は戦争の連続で特徴づけられる時代、本史は最終戦争後に訪れる真の平和の時代と位置づけた。ここで語られる「前史の終わり」とは、総力戦の極限を経て戦争そのものが成立しなくなる時代の到来を意味している。

背景として、20世紀前半は第一次世界大戦、日中戦争、そして第二次世界大戦へと至る、未曾有の規模の戦争が連続する時代であった。石原はその趨勢を見極め、数十年以内に人類が戦争の限界に直面し、強制的に新しい段階へ進まざるを得ないと考えた。この発想は単なる理想主義ではなく、戦争の発達と社会の疲弊を冷徹に分析した帰結であった。

現代の視点から見れば、この予見は部分的に的中したともいえる。第二次世界大戦の後、人類は核兵器を持つことで全面戦争を不可能にし、冷戦期の抑止構造を経て国際秩序の新しい形を模索するようになった。石原の言う「人類の本史」すなわち戦争を超えた平和の時代はいまだ完全には実現していないが、その思想は戦争と平和の関係を考える上で今日なお示唆的である。

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