「できるだけ、季節のものを献上してほしい」
- 1560年頃～1600年10月21日
- 日本（戦国時代・近江国）出身
- 武将、奉行、政治家
- 豊臣政権下で五奉行の一人として行政と財政を担当し、統治機構の整備に尽力した。関ヶ原の戦いでは西軍を率いて東軍と対決したが敗北し、天下分け目の戦いの象徴的人物となった。
原文
「成るべく、季節のものをば進上ありたし」
現代語訳
「できるだけ、季節のものを献上してほしい」
解説
この言葉は、贈答や献上の際には季節感を重んじるべきだという心得を示している。石田三成は実務に精通した武将であり、贈り物や儀礼にも細やかな心配りを求めたことで知られている。「季節のもの」には、その時期に最も美味であり、価値が高いとされる品を選ぶという、相手に対する敬意と配慮が込められている。
安土桃山時代において、四季折々の風物を大切にする感覚は、貴族から武士へと受け継がれていた。単なる物質的な価値ではなく、時節に合った品を選ぶことで、礼儀と教養を示すことが重要視されたのである。三成の言葉は、贈答の品にも戦国武将としての品位と機転を求めた姿勢をよく表している。
現代においても、季節感を重んじた贈答は、相手への細やかな心遣いとして高く評価される。たとえば、旬の果物や、季節限定の商品を選んで贈ることは、単なる形式的なやり取りを超えて、相手への思いやりやセンスを伝える手段となりうる。この言葉は、日常の中での礼節の大切さを今なお教えている。
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