ダ・ヴィンチ「人間の身体を動物の身体と比較した場合、感覚器官が鈍く、より粗雑であることがわかった。したがって、感覚の能力を受け取るための精巧な器具や広い空間が少ないのだ」

レオナルド・ダ・ヴィンチ
  • 1452年4月15日~1519年5月2日
  • イタリア人
  • 万能人(画家、彫刻家、建築家、発明家、科学者など)
  • 絵画「モナ・リザ」や「最後の晩餐」をはじめとする芸術作品の制作、さらに「飛行機の設計図」や「解剖学の研究」などの科学や工学における先駆的なアイデアも多く残した

レオナルド・ダ・ヴィンチ – Wikipedia

英文

“I have found that, in the composition of the human body as compared with the bodies of animals, the organs of sense are duller and coarser. Thus, it is composed of less ingenious instruments, and of spaces less capacious for receiving the faculties of sense.”

日本語訳

「人間の身体を動物の身体と比較した場合、感覚器官が鈍く、より粗雑であることがわかった。したがって、感覚の能力を受け取るための精巧な器具や広い空間が少ないのだ」

最初に

この名言は、レオナルド・ダ・ヴィンチが人間と動物の感覚器官を比較し、その違いについての観察を述べたものである。彼は、人間の感覚器官が動物のものに比べて「鈍く、粗雑」であるとし、その結果、感覚を受け取るための器具が動物に比べて劣ると指摘している。この言葉は、ダ・ヴィンチの解剖学的な観察に基づく洞察を反映している。

解説

ダ・ヴィンチは、人体と自然界のあらゆる要素に深い関心を持ち、その精密な観察によって知識を深めた。この名言では、彼が人体の感覚器官を動物と比較し、感覚の鋭さや精密さに違いがあることを指摘している。彼の観察によれば、動物の感覚器官はより鋭敏であり、それに対して人間の感覚器官は「鈍く、粗雑」であるため、感覚の受容能力が低いという結論に至っている。

「鈍く、粗雑」という表現は、ダ・ヴィンチが動物の感覚器官の精度や敏感さを賞賛していることを示している。例えば、鷹のような鳥は非常に鋭い視覚を持っており、犬の嗅覚は人間よりもはるかに敏感である。これらの動物の感覚器官は、特定の環境や状況に適応して発達している。一方で、人間はこれらの動物ほど鋭敏な感覚を持たないため、感覚の受け取り方が制限されているとダ・ヴィンチは考えた。

しかし、彼の言葉は単なる批判ではなく、感覚の差異に基づいた科学的な分析である。ダ・ヴィンチは、人間の感覚器官が動物よりも劣る部分があることを認めながらも、人間は理性や知性といった他の能力によって補完されていると考えていた。人間は感覚的な鋭さでは動物に劣るかもしれないが、知識や技術を使って自然界を理解し、支配する能力を持っている。

また、この名言は、人間の限界を認識しつつ、その限界を超えるために努力することの重要性を示している。ダ・ヴィンチは、感覚がすべてではなく、観察と知識を通じて感覚の不足を補うことができると考えていた。彼自身が解剖学や科学を通じて知識を深め、自然界の法則を理解しようとしたのも、この信念に基づいている。

結論

レオナルド・ダ・ヴィンチのこの名言は、動物と比較して人間の感覚器官が劣っているという観察に基づいているが、その背景には、知識や観察を通じて感覚の限界を超えようとする彼の科学的な姿勢がある。彼は、人間が感覚に頼るだけではなく、理性や知識によって自然界を理解し、適応していく力を持っていることを強調している。この言葉は、私たちに感覚の限界を認識しつつ、知識をもってそれを補うことの重要性を教えている。