「人生はかくも短く、技を学ぶ道はかくも長い」

- 紀元前460年頃~紀元前370年頃
- 古代ギリシャ出身
- 医師、医学教師、哲学者
- 「医学の父」と称され、病気を自然現象として理解しようとした最初期の人物の一人。ヒポクラテスの誓いは医療倫理の基盤として今日まで受け継がれている。観察と記録に基づく診断を重視し、近代医学の礎を築いた。
英文
“The life so short, the craft so long to learn.”
日本語訳
「人生はかくも短く、技を学ぶ道はかくも長い」
解説
この言葉は、人間の寿命は限られているにもかかわらず、技術や学問を極めるには非常に長い時間がかかるという、学びにおける時間的制約への嘆きと敬意を表している。ここで言う「技(craft)」とは、特に医学のように実践と知識、経験の積み重ねが求められる専門分野を指す。ヒポクラテスはこの言葉によって、医術を志す者には生涯をかけて学び続ける覚悟が必要であることを訴えたのである。
古代ギリシャでは、口伝や師弟関係によって知識が継承され、書物の数も限られていたため、一人の人間が人生で習得できる知識には厳しい限界があった。それでもヒポクラテスは、学びを怠らず、一歩ずつ「真の技」に近づいていく努力こそが尊いと考えた。したがってこの名言には、時間の有限性に打ちひしがれるのではなく、限られた生の中で可能な限りの習得と研鑽を重ねるべきだという哲学的態度が込められている。
現代においても、科学や医学、芸術、工学といった分野では、学ぶべき知識が日々更新され、生涯を通じて学び続けなければ取り残されてしまう。この言葉は、短い人生の中でいかにして深く、効率よく、そして誠実に技術を習得するかを問う厳粛な呼びかけであり、今日の専門家や学徒にも深く響く普遍的な教訓である。
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