「神にとってはすべてが美しく、善であり、正しい。しかし人間は、あるものを不正とし、別のものを正しいと考える」

- 紀元前540年頃~紀元前480年頃
- 古代ギリシャ出身
- 哲学者
英文
”To God everything is beautiful, good, and just; humans, however, think some things are unjust and others just.”
日本語訳
「神にとってはすべてが美しく、善であり、正しい。しかし人間は、あるものを不正とし、別のものを正しいと考える」
解説
この言葉は、人間の価値判断と宇宙的な秩序との隔たりを示している。ヘラクレイトスは、世界はロゴス(理法)によって調和的に構成されており、すべての出来事には意味と正当性があると信じていた。それに対し、人間は主観的な視点や感情に基づいて、善悪や正義を区別するため、本来の全体的秩序を見誤ってしまう。
この思想は、相対的な人間の倫理観と、絶対的な宇宙の調和との対比に基づいている。神(あるいはロゴス)の視点からすれば、戦争も平和も、飢えも満腹も、すべては大いなる全体の中で必要な役割を果たしており、善悪の二元論では捉えきれない。つまり、人間の判断は一面的で、真理の全体像を捉えるには不完全であるという謙虚な認識を促している。
現代においてもこの名言は、多様な価値観や視点の違いをどう受け止めるかという問題に深い示唆を与える。他者の行動や社会の出来事に対して、すぐに正誤や善悪の判断を下すのではなく、より大きな視野や構造の中で意味を探る姿勢が重要である。この言葉は、人間の限界を認めたうえで、理解と調和を志向する哲学的思考への入り口となる。
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