「目は耳よりも正確な証人である」

- 紀元前540年頃~紀元前480年頃
- 古代ギリシャ出身
- 哲学者
英文
”The eyes are more exact witnesses than the ears.”
日本語訳
「目は耳よりも正確な証人である」
解説
この言葉は、視覚による知覚の信頼性を聴覚よりも上位に置くヘラクレイトスの認識論的な考え方を表している。目は直接対象をとらえることができるため、より即物的で具体的な情報を提供する感覚器官であると考えられていた。一方、耳から得られる情報は言葉や音を介しており、間接的で誤解や曲解が入りやすいという弱点を持つ。
この評価には、五感のうちでも視覚が最も理性的で、世界の秩序や構造(ロゴス)を把握しやすいという、古代ギリシア思想における感覚の階層観が反映されている。とくにヘラクレイトスは、理性と観察を通じて世界の真理に接近しようとする態度を重んじたため、視覚がより「真に近い」証言を与えるという認識は自然なものであった。
現代においてもこの名言は、「見ること」と「聞くこと」の違いを意識することの重要性を教えてくれる。映像による証拠や現場での直接観察は、言葉や噂よりも説得力を持つ場面が多い。とはいえ、同時にこの言葉は、感覚に頼ることの限界――たとえば偏見や錯覚――についても反省を促す起点となり得る。真実を見極めるには、目や耳だけでなく、魂の成熟もまた必要であるというヘラクレイトスの広範な思想を踏まえることで、この言葉の含意はより深まる。
感想はコメント欄へ
この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?
「ヘラクレイトス」の前後の名言へ
申し込む
0 Comments
最も古い