「最も優れた人々は、ただ一つの目的――人間としての永遠の名声――のためにすべてを捨てる。しかし大多数の人々は、家畜のようにひたすら食べて満足している」

- 紀元前540年頃~紀元前480年頃
- 古代ギリシャ出身
- 哲学者
英文
”The best people renounce all for one goal, the eternal fame of mortals; but most people stuff themselves like cattle.”
日本語訳
「最も優れた人々は、ただ一つの目的――人間としての永遠の名声――のためにすべてを捨てる。しかし大多数の人々は、家畜のようにひたすら食べて満足している」
解説
この言葉は、人間の生き方の崇高さと卑しさを対比的に描く強烈な倫理的宣言である。ヘラクレイトスは、一時的な快楽や物質的な満足に流される生き方を否定し、永続的な価値――名誉や魂の卓越――を追求する者こそが真に偉大であると主張している。ここにおいて「永遠の名声」とは、単なる世俗的な名誉ではなく、人間としての生の意味を問い続け、精神的高みを目指す姿勢を象徴している。
この名言はまた、感覚的な満足を重視する大衆の在り方への批判でもある。「家畜のように食べる」という表現は、思索や節度を欠いた生のあり方を動物的な水準にまで引き下げている。それに対し、「すべてを捨てる」とは、快適さや安逸、時には命さえも犠牲にしてでも高みを目指す覚悟を意味し、英雄的生き方の理想と結びつく。
現代においてこの言葉は、自己実現と享楽的消費社会との間の緊張関係を浮き彫りにしている。目先の快楽や安易な成功に流されるのではなく、時間をかけて築く価値や理念のために生きる姿勢が真に尊ばれるべきであるという教訓として、深い示唆を与えている。人間として何を選ぶか――それがその人の運命と尊厳を決定するという、厳しいが力強い哲学的メッセージが込められている。
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