「自然はみずからを隠すのが常である」

- 紀元前540年頃~紀元前480年頃
- 古代ギリシャ出身
- 哲学者
英文
”Nature is wont to hide herself.”
日本語訳
「自然はみずからを隠すのが常である」
解説
この言葉は、ヘラクレイトスが持っていた自然の本質への洞察の難しさを表現している。彼にとって「自然」とは単なる外界の物質現象ではなく、存在そのものの根源的な構造や法則を意味していた。自然は一見明白なようでいて、その深層にある真理は容易には人間の目に触れない。この名言は、自然界や宇宙の背後にあるロゴス(理法)が、あえて姿を隠しているという逆説的な認識を伝えている。
古代において自然は神聖視されつつも、その働きは謎に満ちていた。ヘラクレイトスは、単に現象を見るだけでは不十分であり、見えないものに思索を及ぼす理性こそが真理に至る鍵であると考えた。この言葉には、本質は隠されているからこそ価値があり、それを探求する姿勢こそが哲学の出発点であるという思想が込められている。
現代の科学や哲学においても、自然の背後にある仕組みを解明しようとする試みは、まさにこの「隠された自然」との格闘である。量子力学や宇宙論のように、観測できる事象の奥にはなお謎が残る。ゆえにこの名言は、謙虚さと探究心の両立が求められる知の姿勢を象徴する言葉として、今なお深い意味を持ち続けている。
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