「偏狭な信念は神聖なる病である」

ヘラクレイトス(画像はイメージです)
ヘラクレイトス(画像はイメージです)
  • 紀元前540年頃~紀元前480年頃
  • 古代ギリシャ出身
  • 哲学者

英文

”Bigotry is the sacred disease.”

日本語訳

「偏狭な信念は神聖なる病である」

解説

この言葉は、ヘラクレイトス特有の逆説的な批評精神に満ちた表現である。ここでの「bigotry(偏狭な信念)」とは、自分の考えや信仰、正義を絶対視し、異なる意見や価値観を受け入れない態度を指す。それが「sacred disease(神聖なる病)」と呼ばれるのは、当人にとっては聖なる使命であるかのように見えるが、実際には破滅的で非理性的なものであるからである。

ヘラクレイトスにとって、「病」は単なる肉体的現象ではなく、魂や社会のバランスを崩す根源的な力でもあった。ここでの「神聖なる病」とは、宗教的狂信や道徳的独善が、かえって理性や調和を壊してしまうことへの皮肉と警告である。つまり、信念の強さそのものが問題なのではなく、それが閉鎖的で自己中心的になったときに病へと変わるのである。

現代においてもこの名言は、イデオロギーの対立や不寛容な風潮への鋭い批評として響く。政治、宗教、文化において、自らの正しさを「聖なるもの」として絶対視する態度は、対話や共存の可能性を閉ざし、社会に分断と敵意をもたらす。この言葉は、信念を持つことの重要性と同時に、それがどこで病に変わるのかを見極める冷静な知性の必要性を、私たちに深く問いかけている。

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