「不当な投獄を行う政府のもとでは、正しい人間の本当の居場所もまた、監獄である」

- 1817年7月12日~1862年5月6日
- アメリカ合衆国出身
- 作家、思想家、詩人、超越主義哲学者、自然と個人主義の擁護者
英文
“Under a government which imprisons any unjustly, the true place for a just man is also a prison.”
日本語訳
「不当な投獄を行う政府のもとでは、正しい人間の本当の居場所もまた、監獄である」
解説
この言葉は、正義が制度によって踏みにじられるとき、正義を貫く者もまた同じ圧力を受けるべきであるという徹底した道徳的立場を表している。ソローはここで、不正な体制に無批判に従うことは、間接的にその不正に加担することに等しいと主張している。したがって、もし国家が無実の者を投獄するのであれば、その国家に抗議する正しい人間も、自ら監獄に入る覚悟を持たねばならないというのである。
この思想は、ソローの代表作『市民の反抗』の中核であり、彼自身が奴隷制度とメキシコ戦争への抗議のために人頭税の支払いを拒否して投獄された経験に根ざしている。彼は、道徳的正義が国家法よりも上位にあると信じており、不当な法の下で「法に従うこと」は、むしろ非道徳であると考えていた。
この名言は、現代における良心に基づく抵抗や市民的不服従の正当性を示す根拠として、数多く引用されてきた。たとえば、マハトマ・ガンディーやマーティン・ルーサー・キング・ジュニアもこの思想に強い影響を受けている。ソローのこの言葉は、法と正義の乖離に直面したとき、個人がどこに立つべきかを明確に示す、揺るぎない倫理的指針となっているのである。
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