「時とは、私が釣りをするために入る小川にすぎない」

ヘンリー・デイヴィッド・ソローの名言・格言・警句(画像はイメージです)
ヘンリー・デイヴィッド・ソローの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1817年7月12日~1862年5月6日
  • アメリカ合衆国出身
  • 作家、思想家、詩人、超越主義哲学者、自然と個人主義の擁護者

英文

“Time is but the stream I go a-fishing in.”

日本語訳

「時とは、私が釣りをするために入る小川にすぎない」

解説

この名言は、時間というものに対するソローの詩的かつ哲学的な捉え方を象徴している。彼にとって時間は、避けられない流れではなく、自らが意識的に関わり、探求し、何かを得ようとする対象であった。川に釣り糸を垂れるように、彼は時間の流れの中に身を置きながらも、その流れに呑まれることなく、むしろ静かに観察し、意味を引き上げるのである。

この表現には、現代人が時間に追われることに対する批判的距離感も含まれている。ソローは、時間を「管理」しようとも、「殺す」ものとも考えておらず、ただそこにあるものとして付き合い、自らの目的に応じて活用すべきものと見なしていた。これは『ウォールデン』における彼の自然と共に過ごす生活とも一致しており、日々の流れに流されず、自分の意識の網で意味を掬い上げる姿勢を示している。

この名言は、時間の使い方が問われる現代にも大きな示唆を与える。私たちはしばしば、時間を消費することに意識を奪われ、本質的な経験や思索を取り逃がしてしまう。だがこの言葉は、時間とは流れゆくものではなく、そこに意識的に入って探ることで、人生の本質を掘り当てる手段となりうると教えてくれる。時間を恐れるのではなく、あたかも釣り人のように、静かにそこから宝を引き上げよという、深い静謐と洞察に満ちた名言である。

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