「国家がその権力と権威のすべてが由来するところの、より高く独立した力として個人を認め、個人をそのように扱うようになるまでは、本当に自由で啓発された国家など決して現れない」

ヘンリー・デイヴィッド・ソローの名言・格言・警句(画像はイメージです)
ヘンリー・デイヴィッド・ソローの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1817年7月12日~1862年5月6日
  • アメリカ合衆国出身
  • 作家、思想家、詩人、超越主義哲学者、自然と個人主義の擁護者

英文

“There will never be a really free and enlightened State until the State comes to recognize the individual as a higher and independent power, from which all its own power and authority are derived, and treats him accordingly.”

日本語訳

「国家がその権力と権威のすべてが由来するところの、より高く独立した力として個人を認め、個人をそのように扱うようになるまでは、本当に自由で啓発された国家など決して現れない」

解説

この言葉は、国家の正統性と自由の根拠が個人にあるという、ソローの政治哲学の核心を突く一文である。彼は、国家は個人より上位の存在ではなく、本来は個人の自由と権利を保障するために存在するものであり、その力は個人から委託されたものでなければならないと考えていた。この名言は、そうした「個人主権」の思想を明確に表しており、国家が真に正義を実現するためには、まず個人の尊厳を最高原理として認めなければならないという主張である。

この考え方は、ソローの代表作『市民の反抗(Civil Disobedience)』においてさらに深く掘り下げられている。彼は、不正を行う国家に従うことは道徳的に許されないとし、個人が良心に基づいて行動することの正当性と必要性を説いた。つまり、自由で啓発された国家とは、個人の良心と理性を根幹に据えるものであり、国家そのものが個人の精神的成熟に従属するべきであるとするのが彼の信念であった。

現代の民主主義社会においても、国家権力と個人の自由との緊張関係は続いている。この言葉は、権力が強化されるときにこそ、個人の声と自由が最も尊重されねばならないという原理を思い出させる。ソローは、真に自由な社会とは、国家が個人を管理するのではなく、個人の理性と尊厳を土台として築かれるものであると断言しているのである。

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