「虎を飼い慣らすことが真の文化の一部でないのは、羊を凶暴にすることがそうでないのと同じである」

- 1817年7月12日~1862年5月6日
- アメリカ合衆国出身
- 作家、思想家、詩人、超越主義哲学者、自然と個人主義の擁護者
英文
“It is not part of a true culture to tame tigers, any more than it is to make sheep ferocious.”
日本語訳
「虎を飼い慣らすことが真の文化の一部でないのは、羊を凶暴にすることがそうでないのと同じである」
解説
この言葉は、真の文化とは、存在の本質を尊重するものであり、無理に性質を変えようとするものではないというソローの文明批判を含んだ洞察である。虎を飼い慣らす――つまり野性を押さえつけることも、羊を凶暴にする――つまり穏やかさを破壊することも、いずれも本質に逆らい、自然の秩序を歪める行為であるという点で同じだと述べている。
この名言は、ソローが『ウォールデン』などで繰り返し主張した、自然のままにあることの尊さと、人間が他の存在に及ぼす不自然な干渉への懐疑と直結している。彼は、人間もまた自然の一部であるべきであり、制御や変形によって文化を定義するのではなく、調和と理解によって育むことが真の文化であると考えた。
現代においてこの言葉は、人間中心の価値観や支配的なテクノロジーの応用に対する警鐘とも読める。教育、動物管理、人工知能の設計などあらゆる分野で、本質を歪めて「管理可能」にすることが進んでいるが、それは文化の深化ではなく、破壊につながるおそれがある。ソローのこの一言は、本物の文化とは、変えることではなく「そのままを生かすこと」にこそ宿るという倫理的な指針を与えている。
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