「書物は、その扱い方よりもむしろ、扱われている主題の壮大さによって区別されるべきである」

- 1817年7月12日~1862年5月6日
- アメリカ合衆国出身
- 作家、思想家、詩人、超越主義哲学者、自然と個人主義の擁護者
英文
“Books are to be distinguished by the grandeur of their topics even more than by the manner in which they are treated.”
日本語訳
「書物は、その扱い方よりもむしろ、扱われている主題の壮大さによって区別されるべきである」
解説
この言葉は、書物の価値を測る基準は表現技法や文体ではなく、何を語っているかという主題の深さや崇高さにあるというソローの文学観を明示している。洗練された筆致や技巧があっても、扱われているテーマが卑小であれば、真に価値ある書物とは呼べない。反対に、表現が多少拙くても、扱うテーマが普遍的・哲学的・人間的に重要であれば、それは尊重されるべきだという判断である。
この考えは、ソロー自身の著作姿勢に反映されている。『ウォールデン』や『市民の反抗』は、文体の華麗さよりも、自然との共生・個人の自由・社会への批判といった重厚なテーマを堂々と扱っている。彼にとって書物とは、芸術作品である前に、人間の精神を目覚めさせ、真理を探究する手段であるべきものだった。
現代においても、技巧や話題性ばかりがもてはやされる書物が多い中で、この言葉は、書物の中身――何を語ろうとしているのか――という本質的な価値を見極める視点を思い出させる。ソローは、一冊の本の価値は、作者の意図と主題の重みから判断すべきであるという知的誠実さを、この一文に込めているのである。
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