「男を通じてしか知られない女は、誤って知られることになる」

ヘンリー・アダムズ(画像はイメージです)
ヘンリー・アダムズ(画像はイメージです)
  • 1838年2月16日~1918年3月27日(80歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 歴史家、文筆家、政治評論家

英文

”The woman who is known only through a man is known wrong.”

日本語訳

「男を通じてしか知られない女は、誤って知られることになる」

解説

この名言は、女性の存在や評価が男性を通してのみ語られるとき、それは必ず歪められるという批判を強く込めた言葉である。ヘンリー・アダムズは、社会が女性を自立した主体としてではなく、常に男性の影の存在として認識する構造に対して疑問を投げかけている。「known only through a man」という表現には、女性の声や視点が奪われ、男性の語りの中でしか社会に現れない不均衡な関係が内包されている。

この問題意識は、アダムズが生きた19世紀後半から20世紀初頭のアメリカ社会にも深く根差している。当時、多くの女性は父、夫、兄弟といった男性の地位によってしか社会的に「意味づけ」られなかった。その結果、女性の能力や人格は見過ごされるか、男性の都合によって再構成された姿でしか流布されなかった。アダムズの言葉は、その不正義に対する鋭い告発でもある。

現代でも、女性が誰かの「妻」や「娘」として紹介される場面は少なくなく、本来の人物像が固定された役割に還元されてしまう危険は依然として存在する。この名言は、個としての女性を、男性の視点や文脈から独立して捉える必要性を鋭く訴えている。真の理解には、自ら語る言葉を尊重し、独自の人生をそのまま認める視点が不可欠である。

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