「哲学とは、解けない問題に対する、理解不能な答えである」

- 1838年2月16日~1918年3月27日(80歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 歴史家、文筆家、政治評論家
英文
”Philosophy: Unintelligible answers to insoluble problems.”
日本語訳
「哲学とは、解けない問題に対する、理解不能な答えである」
解説
この名言は、哲学に対する辛辣なユーモアと批評を極めて簡潔に示している。ヘンリー・アダムズはここで、哲学がしばしば抽象的で難解な言葉を用いながら、そもそも答えのない問題に挑んでいるという姿勢を皮肉っている。「unintelligible(理解不能な)」「insoluble(解けない)」という形容の組み合わせが、思索の堂々巡りと非生産性を滑稽に強調している。
とはいえ、アダムズは単に哲学を軽蔑していたのではなく、むしろ人間の知性の限界に対する深い自覚をこの言葉に込めていた。彼自身が歴史や宗教、道徳といった根源的なテーマに取り組む中で、答えが出ないにもかかわらず問い続けるという営みの苦しさと滑稽さを熟知していたからこそ、こうしたアイロニーに至ったのである。
現代においても、哲学はしばしば「役に立たない学問」と誤解されるが、この名言はそのような偏見を逆に逆手に取り、人間の知性が真理に迫ろうとする営みの矛盾と尊さを、笑いとともに浮かび上がらせている。アダムズの皮肉は、問いの重さと答えの難解さを抱えたまま、それでも考え続けるしかない人間の宿命を暗に肯定しているとも言える。
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