「教育において最も驚くべきことは、無意味な事実の形で蓄積される無知の量である」

ヘンリー・アダムズ(画像はイメージです)
ヘンリー・アダムズ(画像はイメージです)
  • 1838年2月16日~1918年3月27日(80歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 歴史家、文筆家、政治評論家

英文

”Nothing in education is so astonishing as the amount of ignorance it accumulates in the form of inert facts.”

日本語訳

「教育において最も驚くべきことは、無意味な事実の形で蓄積される無知の量である」

解説

この言葉は、知識と理解の違いに対する痛烈な批判である。教育の現場では、膨大な情報や事実が記憶されていくが、それらの多くは実生活や思考と結びつかない「不活性な事実(inert facts)」であり、真の理解や知恵とは程遠い。ヘンリー・アダムズは、教育が知識の蓄積に偏ることで、かえって本質的な洞察を妨げる「無知」を増幅するという逆説を指摘している。

この見解は、彼の時代の教育制度—特にエリート向けの古典的教育—に対する不満とも結びついている。アダムズ自身、ハーバードでの教育に限界を感じ、自伝『ヘンリー・アダムズの教育』では、制度的教育の無力さと、人生という教師の強烈な力を対比して描いている。この名言もまた、教育の形式化や情報偏重への根源的な問いかけである。

現代においても、試験や成績に直結する「知識詰め込み型教育」は世界中で批判されている。記憶に頼る教育は、創造性や応用力、批判的思考を育てにくい。それどころか、学んだ事実を「分かったつもり」にしてしまい、より深い理解から遠ざかる危険もある。教育が真に意味あるものとなるためには、知識を生きた文脈に置き換え、思考と経験を通じて再構成する力を育てる必要がある。

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