「私はあまりに多くの歴史を書いてきたため、それを信じる気にはなれない。そして誰かが私が間違っていると言うなら、むしろその意見に同意したくなる」

ヘンリー・アダムズ(画像はイメージです)
ヘンリー・アダムズ(画像はイメージです)
  • 1838年2月16日~1918年3月27日(80歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 歴史家、文筆家、政治評論家

英文

”I have written too much history to have faith in it; and if anyone thinks I’m wrong, I am inclined to agree with him.”

日本語訳

「私はあまりに多くの歴史を書いてきたため、それを信じる気にはなれない。そして誰かが私が間違っていると言うなら、むしろその意見に同意したくなる」

解説

この名言は、歴史の本質に対する深い懐疑と、自己の認識に対する謙虚さを表現している。ヘンリー・アダムズは歴史家として数多くの著作を残したが、その過程で彼は、歴史というものがいかに主観的で、完全には信頼できないものであるかを痛感したのである。彼の言葉は、史実の記述が決して絶対的な真実ではなく、視点や解釈によっていくらでも変わりうることへの警鐘でもある。

「誰かが私が間違っていると言うなら、同意したくなる」という後半の一文は、知的誠実さと懐疑主義の姿勢を表している。これは単なる皮肉ではなく、どんな歴史解釈も決して完全ではありえないという、深い自覚に基づいた姿勢である。アダムズにとって、歴史は事実の羅列ではなく、常に問い直されるべき人間の営みだった。

現代においても、歴史は政治的・文化的立場によって異なる語られ方をし、「正しい歴史」が一つに定まらない時代に生きている。この名言は、絶対的な正しさへの固執ではなく、異なる見解に対して開かれた態度を保つことの重要性を教えてくれる。歴史の重みを知る者ほど、それを疑う必要があるのだという逆説的な真理がここにある。

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