「誰もが自分なりの一寸(インチ)物差しで趣味を測り、それを得意げにどこへ行っても当てはめては楽しんでいる」

- 1838年2月16日~1918年3月27日(80歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 歴史家、文筆家、政治評論家
英文
”Everyone carries his own inch rule of taste, and amuses himself by applying it, triumphantly, wherever he travels.”
日本語訳
「誰もが自分なりの一寸(インチ)物差しで趣味を測り、それを得意げにどこへ行っても当てはめては楽しんでいる」
解説
この名言は、人間がいかに主観的な価値観を普遍的なものと錯覚しがちかを風刺的に描いている。ヘンリー・アダムズはここで、「自分の好みや基準(inch rule of taste)」をあたかも絶対的な尺度のように使い、異文化や他者に対して優越感を抱きながら判定を下す人間の姿を、皮肉混じりに表現している。
「triumphantly(勝ち誇ったように)」という言葉には、自己満足的で視野の狭い態度への批判が込められている。人はしばしば、自らの美的感覚、道徳観、文化的価値を基準にして他者を評価しようとするが、それはしばしば偏見や無理解の表れでもある。アダムズは、そうした態度が「どこへ旅しても」繰り返される点に、人間の普遍的な滑稽さを見出している。
現代においても、異文化理解や多様性が叫ばれる一方で、自分の価値観を絶対視し、他者の文化や趣味を「劣っている」と見なす態度は根強く残っている。この名言は、文化的相対性と謙虚さの必要性を思い起こさせると同時に、人間の自己中心的な性向を笑い飛ばすユーモアでもある。アダムズの冷静な観察眼が光る、深く含蓄のある一言である。
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