「党派間の不和に伴う復讐心によって激化した、ある派閥が他の派閥を交互に支配する状況は、それ自体が恐るべき専制である。そして最終的には、より制度的で恒久的な専制に行き着くことになる」

- 1732年2月22日~1799年12月14日(67歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 軍人、政治家、「アメリカ独立戦争の総司令官」
英文
“The alternate domination of one faction over another, sharpened by the spirit of revenge natural to party dissension, which in different ages and countries has perpetrated the most horrid enormities, is itself a frightful despotism. But this leads at length to a more formal and permanent despotism.”
日本語訳
「党派間の不和に伴う復讐心によって激化した、ある派閥が他の派閥を交互に支配する状況は、それ自体が恐るべき専制である。そして最終的には、より制度的で恒久的な専制に行き着くことになる」
解説
この言葉は、党派政治の過熱が自由を損ない、やがて専制を招くという重大な警告である。ワシントンは、政権が党派間で入れ替わるたびに復讐心に満ちた争いが繰り返されれば、それはすでに専制的な支配と変わらず、政治の本質が破壊されると懸念している。そして、そのような状況が続けば、最終的には独裁的な体制が制度として固定化されると警鐘を鳴らしている。
背景には、建国初期のアメリカにおいて、連邦派と反連邦派の対立が深まり、政党の形成が進みつつあった状況がある。ワシントンはその流れに強く反対し、党派的利害が国益を覆い隠すことを危惧していた。彼の「告別演説」においても、政党政治が国の分裂と堕落をもたらす危険性が繰り返し論じられている。
現代においても、党派の対立が激化し、政策ではなく敵対関係そのものが政治の目的となる状況は各国で見られる。ワシントンのこの言葉は、政治が報復と支配の繰り返しに堕せば、最終的には自由を喪失し、恒久的な権力集中へと導かれるという、民主主義の根幹を守るための深い警告である。
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