「現在権力を握っている人々は、開かれた社会の第一原則、すなわち自分たちが間違っているかもしれないということ、そして自由な議論が必要であるということを忘れてしまっている。政策に反対することは、非愛国的であることを意味しないのだ」

- 1930年8月12日~
- ハンガリー出身
- 投資家、慈善家、政治活動家
- ヘッジファンド運用で巨額の富を築き、「イングランド銀行を潰した男」として知られる。オープン・ソサエティ財団を通じて民主主義・人権促進に貢献し、世界各地で社会改革支援を行う。
英文
“The people currently in charge have forgotten the first principle of an open society, namely that we may be wrong and that there has to be free discussion. That it’s possible to be opposed to the policies without being unpatriotic.”
日本語訳
「現在権力を握っている人々は、開かれた社会の第一原則、すなわち自分たちが間違っているかもしれないということ、そして自由な議論が必要であるということを忘れてしまっている。政策に反対することは、非愛国的であることを意味しないのだ」
解説
この言葉は、開かれた社会の根幹である「自己の誤りを認める謙虚さ」と「自由な議論の保障」が権力者によって軽視されているという厳しい批判を表明している。ジョージ・ソロスは、国家運営において異論を封じることは、社会の活力を損ない、独裁への道を開くと警告しており、ここでは健全な民主主義には批判と議論が不可欠であることが強調されている。
この発言の背景には、特に2000年代初頭のアメリカにおける愛国心の名のもとに行われた反対意見への抑圧がある。9.11以降、政府の政策に反対する声はしばしば「非国民」「非愛国的」と非難され、自由な言論空間が狭められる傾向が見られた。ソロスは、開かれた社会は絶えず自己批判と修正を繰り返すことによってしか存続できないと考え、この危険性を鋭く指摘したのである。
現代においても、「反対意見=敵」という短絡的な構図が世界各地で広がっている。ソロスのこの言葉は、異論を排除する社会は必ず衰退するという普遍的な真理を思い起こさせ、自由で活発な議論こそが社会を進歩させる原動力であることを今なお強く訴えている。
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