「私はむしろ、人間のような最も愚かで無分別な動物であるくらいなら、カキでいたい」

ジョージ・バークリー(画像はイメージです)
ジョージ・バークリー(画像はイメージです)
  • 1685年3月12日~1753年1月14日(67歳没)
  • アイルランド出身
  • 哲学者、聖職者、「主観的観念論(イマテリアリズム)を提唱した近代哲学者」

英文

”I had rather be an oyster than a man, the most stupid and senseless of animals.”

日本語訳

「私はむしろ、人間のような最も愚かで無分別な動物であるくらいなら、カキでいたい」

解説

この名言は、人間の理性や知性に対する強烈な皮肉と幻滅を表現している。一見して人間の優越性を否定し、無為で思考を持たない存在である「カキ」のほうがむしろましだとする逆説的な主張である。これは自己認識に苦しむ知的存在としての人間が、ときに愚かさゆえに苦悩を深めるという矛盾を突いた言葉でもある。

ジョージ・バークリーは感覚と知覚を中心に据えた哲学を展開したが、その根底には人間理性への複雑な態度があった。この発言には、知覚能力が高いゆえに虚偽や欺瞞に苦しみやすい人間の性(さが)への冷笑が読み取れる。バークリーが常に理性を賞賛していたわけではなく、理性を誤用する人間の姿に対しては鋭く批判していたことがうかがえる。

この名言は現代社会にも通じる。フェイクニュース、自己矛盾、群集心理、環境破壊などを引き起こすのは、高度な知性を持つはずの人間自身である。利己的で短絡的な判断を下しがちな人間より、無害であるがゆえにカキのような存在に価値を見出すという感覚は、皮肉であると同時に深い絶望を含んでいる。

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