「天のすべての合唱と地上のすべての調度、つまり世界を形づくるあらゆる物体は、心なくしては何の実在も持たない」

- 1685年3月12日~1753年1月14日(67歳没)
- アイルランド出身
- 哲学者、聖職者、「主観的観念論(イマテリアリズム)を提唱した近代哲学者」
英文
”All the choir of heaven and furniture of earth — in a word, all those bodies which compose the frame of the world — have not any subsistence without a mind.”
日本語訳
「天のすべての合唱と地上のすべての調度、つまり世界を形づくるあらゆる物体は、心なくしては何の実在も持たない」
解説
この名言は、ジョージ・バークリー哲学の核心をなす命題である「存在とは知覚されることである(esse est percipi)」を、詩的かつ包括的に表現したものである。宇宙の構造をなすあらゆる物体——天体、自然、人工物のすべて——は、誰かの心によって知覚されているからこそ存在するのであり、知覚されない状態では存在しないという徹底した観念論が示されている。
バークリーにとって、「心(mind)」こそが実在を保証する唯一の基盤であり、物質は心の外部に独立して存在することはできない。この思想は、デカルト的な「我思う、ゆえに我あり」とは逆に、「知覚される、ゆえに存在する」という方向に思索を展開する。世界そのものが、人間の心あるいは神の永遠の知覚においてのみ成り立っているという点で、極めて急進的な立場である。
現代においてもこの考え方は議論の対象となる。量子力学における観測問題(観測されるまでは状態が決まらない)や、バーチャルリアリティの哲学的問題(知覚が実在をどこまで構成するか)などは、バークリーの主張と興味深い交差を見せる。**物質中心の世界観ではなく、知覚と心を出発点とする世界観に目を向けるべきだという、この名言の問いかけは、今なお根源的であり続けている。
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