「個人においても、国家においても、神の摂理においても、不足を見出すことは、それらの真の意義と価値を見抜くことよりも容易である」

ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲルの名言・格言・警句(画像はイメージです)
ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲルの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1770年8月27日~1831年11月14日
  • ドイツ出身
  • 哲学者、観念論の体系化者、弁証法と歴史哲学の提唱者

英文

“It is easier to discover a deficiency in individuals, in states, and in Providence, than to see their real import and value.”

日本語訳

「個人においても、国家においても、神の摂理においても、不足を見出すことは、それらの真の意義と価値を見抜くことよりも容易である」

解説

この言葉は、物事の欠点を指摘するのは簡単だが、その本質的な意味や価値を理解するのははるかに困難であるという、深い認識論的・倫理的洞察を示している。ヘーゲルは、批判的態度が知性の初歩にすぎず、真に重要なのは、その存在の背後にある理性的構造や目的を把握することであると考えた。特に「摂理(Providence)」という語には、歴史や世界に秩序と目的を与える理性の働きが含意されている。

この命題は、弁証法的思考の姿勢を反映している。すなわち、物事を単純に善悪や有無で裁断するのではなく、その内的矛盾や歴史的背景を通じて、全体的な意義を理解する努力が必要である。個人の欠点も、国家の問題も、それだけを取り出して非難するのではなく、それがなぜ存在し、どのように意味づけられているかを見る視座が求められる

現代においても、社会批判や制度批判は溢れているが、その制度が果たしている役割や、個人が抱える矛盾の中に潜む人間的価値を読み取ることは難しい。短絡的な否定ではなく、背後にある目的や理性を読み解こうとする態度こそが、真に哲学的な認識へと至る道である。ヘーゲルのこの命題は、単なる否定にとどまらず、存在の正当性と意義に目を向けるよう促す知的挑戦を含んでいる

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