「不死の神々はしばしば、罰すべきと考える者にあえて長きにわたる繁栄と無罪の時を与える。すべてを失わせたとき、より苛烈に苦しませるためである」

- 紀元前100年7月12日頃~紀元前44年3月15日
- ローマ共和国出身
- 軍人、政治家、作家、独裁官
- ガリア戦争での勝利により軍事的名声を得て、ローマ内戦を制して終身独裁官に就任。共和政を終焉へと導く政治改革を推進しつつも、元老院派により暗殺された。ローマ帝政への転換点を築いた古代史上最も影響力のある人物の一人として知られている。
英文
“It was the wont of the immortal gods sometimes to grant prosperity and long impunity to men whose crimes they were minded to punish in order that a complete reverse of fortune might make them suffer more bitterly.”
日本語訳
「不死の神々はしばしば、罰すべきと考える者にあえて長きにわたる繁栄と無罪の時を与える。すべてを失わせたとき、より苛烈に苦しませるためである」
解説
この言葉は、罪ある者がすぐには裁かれず、むしろ繁栄を許されるのは、神々が最終的により大きな罰を与えるためであるという、運命論的かつ皮肉な視点を示している。正義は遅れることがあるが、それは最終的な転落をより劇的かつ痛烈なものにするための神意である、という古代的な倫理観が表れている。
この考えは、カエサルが共和政末期の腐敗と混乱を観察し、また敵対者の一時的な栄華を前にしても動じなかった思想的背景を示唆するものである。自らの運命を冷静に見つめ、いかなる好運も永続せず、罪には必ず報いがあるという歴史観と宗教観が込められている。このような視点は、カエサルの冷徹な政治的判断力の基盤ともなっていた。
現代においても、一時の成功や権力を得た者が後に急落する事例は珍しくない。企業不祥事や権力者の失脚などにおいて、人々はしばしば「なぜ今まで罰されなかったのか」と問うが、この名言は因果応報の構造が時として遅れて現れることへの洞察を与える。正義は遅れるが、より深く刺す――この言葉は、歴史を動かす力の残酷さと神意のような運命の皮肉を同時に語っている。
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