「人には、自分自身にさえ告げることを恐れる事柄があり、まともな人間なら誰もがそうした事柄を心の奥底にしまい込んでいるものだ」
- 1821年11月11日~1881年2月9日
- ロシア帝国出身
- 小説家、哲学者
- 『罪と罰』や『カラマーゾフの兄弟』、『白痴』などの作品を通じて、人間心理と哲学的テーマを深く探求した
英文
“There are things which a man is afraid to tell even to himself, and every decent man has a number of such things stored away in his mind.”
日本語訳
「人には、自分自身にさえ告げることを恐れる事柄があり、まともな人間なら誰もがそうした事柄を心の奥底にしまい込んでいるものだ」
解説
この言葉は、人間の内面の複雑さと、自己認識に伴う恐れを表現している。人は、自分の心の中に存在する弱さや過ち、あるいは受け入れがたい欲望や感情に向き合うことを避ける傾向がある。これらの「語られない真実」は、自己を守るために無意識のうちに心の奥底に押し込まれるが、その存在が完全に消えることはなく、個人の行動や思考に影響を与え続ける。
ドストエフスキーの作品には、このテーマが繰り返し描かれている。『罪と罰』の主人公ラスコーリニコフは、自らの犯罪やその動機について完全に向き合うことができず、その結果として苦悩と葛藤に苛まれる。また、『地下室の手記』では、主人公が自己を分析しながらも、自らの中の矛盾や醜さを直視することに対する恐怖を露わにする。こうした人間の心理的葛藤は、ドストエフスキー文学の中心的なテーマである。
現代においても、この言葉は多くの人に共感を呼ぶ。社会的な規範や自分への期待が、人々を自己の本音から遠ざけることがある。特に、完璧を求める現代社会では、自分の弱さや暗い側面を受け入れることが、精神的な自由や成長への鍵になる場合もある。この言葉は、人間の心の深層にある「語られない真実」に向き合う勇気と、それが持つ重要性を再考させる。
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