「戦って王冠を得るのは偉大であり、それを拒むことは神聖である」

フリードリヒ・フォン・シラー(画像はイメージです)
フリードリヒ・フォン・シラー(画像はイメージです)
  • 1759年11月10日~1805年5月9日(45歳没)
  • ドイツ出身
  • 劇作家、詩人、歴史家、哲学者

英文

“To gain a crown by fighting is great, to reject it divine.”

日本語訳

「戦って王冠を得るのは偉大であり、それを拒むことは神聖である」

解説

この名言は、力によって地位や栄光を勝ち取ることの偉大さを認めつつも、さらに高い倫理的境地として、それを自ら拒む行為を「神聖」と表現している。ここには、栄誉や権力に対する人間の欲望と、それを超えて自己を律する精神性との対比がある。シラーは、力そのものよりも、自己抑制と道徳的選択にこそ人間の真の偉大さがあると見ていた。

歴史を見れば、ナポレオンのように王冠を力で手に入れた者と、ローマの将軍シンナトゥスやワシントンのように権力を断って引退した人物とでは、その評価の質が異なる。前者が歴史を動かした英雄であるなら、後者は人類の理想を体現した道徳的模範である。シラーはこの違いを明確に示し、徳と理性に基づいた「権力の放棄」こそが、真に崇高な行為であるとした。

現代においても、名声・富・地位といった「冠」を追い求める風潮が強まる中で、それらを自ら手放す選択をする人は稀である。この名言は、利己的欲望に打ち勝ち、より大きな倫理や公共善のために個人の栄光を犠牲にすることの美徳を強く訴えている。真に尊いのは、得ることよりも、それを持たずして正しくあろうとする姿勢なのである。

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