「冗談は、それを言った本人が真っ先に笑えば、その効き目を失う」

フリードリヒ・フォン・シラー(画像はイメージです)
フリードリヒ・フォン・シラー(画像はイメージです)
  • 1759年11月10日~1805年5月9日(45歳没)
  • ドイツ出身
  • 劇作家、詩人、歴史家、哲学者

英文

“The jest loses its point when he who makes it is the first to laugh.”

日本語訳

「冗談は、それを言った本人が真っ先に笑えば、その効き目を失う」

解説

この言葉は、ユーモアや風刺の力は、語る者の自己満足ではなく、聞き手の受け取り方によって生きるという芸術的かつ心理的な真理を表している。冗談や機知とは、予期せぬ切れ味によって相手に思考や驚きをもたらすものだが、語り手が先に笑ってしまうことで、その緊張感や余韻が失われ、効果が薄れてしまうという意味である。

シラーは詩人として言葉の持つ力を深く理解していたが、同時に「間」や「沈黙」といった非言語的な表現の重みもよく知っていた。この名言には、言葉の芸術における節度と品位、そして相手の反応に委ねる繊細な美学が反映されている。また、ユーモアは自己主張ではなく、他者との関係性の中で成立するという哲学的な洞察も感じられる。

現代においても、自己アピールや承認欲求が強調されがちな場面では、ユーモアが独りよがりになりやすい。この名言は、本当の冗談や風刺は、自分ではなく他者の笑いによって完成するという謙虚な構えと、美意識を呼び起こすものである。語るよりも受け取られることに価値があるという、この静かな逆説は、言葉を扱うすべての者への教訓である。

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