「人類の大半は欠乏との闘いに疲弊しすぎていて、新たに、より厳しい誤謬との闘いに立ち向かう余力を持たない」

フリードリヒ・フォン・シラー(画像はイメージです)
フリードリヒ・フォン・シラー(画像はイメージです)
  • 1759年11月10日~1805年5月9日(45歳没)
  • ドイツ出身
  • 劇作家、詩人、歴史家、哲学者

英文

“The greater part of humanity is too much harassed and fatigued by the struggle with want, to rally itself for a new and sterner struggle with error.”

日本語訳

「人類の大半は欠乏との闘いに疲弊しすぎていて、新たに、より厳しい誤謬との闘いに立ち向かう余力を持たない」

解説

この言葉は、貧困や生活苦に追われる人々が、さらに知的・精神的な誤謬(エラー)に立ち向かう余裕を持てないという現実を鋭く描き出している。つまり、日々の生存のための闘いに忙殺されるあまり、思想的な誤りや社会制度の不正に対して反省し、立ち上がることすら困難になっているという人間の構造的な無力さを指摘している。

この名言は、啓蒙主義が提唱した「理性による進歩」が、必ずしも全ての階層に届いていないというシラーの自覚を示している。教育や哲学、真理の探究といった営みは、ある程度の物質的安定と時間的余裕があってこそ成立する。シラーは人間の精神的自由を強く重んじながらも、それが経済的苦境と切り離せない現実であることを見逃さなかった。

現代においても、格差社会や過労、生活不安の中では、人々が真理を追求し、社会的誤謬に声を上げる力を持つことは容易ではない。この名言は、思想や倫理を語る以前に、まず人間の尊厳と安定した生活を保障する必要があるという根源的な課題を突きつけている。理性や正義が花開くには、まず土壌としての人間的生活の充実が必要なのだ。

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