「権力こそ、最も説得力ある雄弁である」

フリードリヒ・フォン・シラー(画像はイメージです)
フリードリヒ・フォン・シラー(画像はイメージです)
  • 1759年11月10日~1805年5月9日(45歳没)
  • ドイツ出身
  • 劇作家、詩人、歴史家、哲学者

英文

“Power is the most persuasive rhetoric.”

日本語訳

「権力こそ、最も説得力ある雄弁である」

解説

この言葉は、論理や言葉による説得以上に、現実の力や支配の事実が人を動かすという、政治的・人間的真理を鋭く言い表している。シラーは言葉の力を信じた詩人であると同時に、言葉が届かぬ現実の場面で「力」がいかに強く作用するかを深く理解していた。この名言は、理想主義と現実主義の狭間に生きた彼の苦い洞察を象徴している。

18世紀末から19世紀初頭のヨーロッパは、理性と正義の時代である啓蒙の理念が、フランス革命やナポレオン戦争といった「力の政治」によって試される時代でもあった。シラーは、暴力や独裁がいかに「正しさ」を装って人々を納得させ、服従させてしまうかを見てきた。ここでいう「雄弁(rhetoric)」は、論証や演説ではなく、結果と現実を示すことそのものが、最大の説得手段であるという皮肉を含んでいる。

現代においても、正論よりも「力を持つ者」が正しいとされてしまう現象はあらゆる場面で見られる。この名言は、言葉による正義がいかに力によって歪められやすいか、また、力がいかに人々の判断を左右するかを警告している。同時に、それでもなお理性と倫理による対話の価値を守るべきであるという、シラーの深層的な問いかけでもある。

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