「反対は、熱狂者の心に火をつけはしても、決して彼を改心させはしない」

- 1759年11月10日~1805年5月9日(45歳没)
- ドイツ出身
- 劇作家、詩人、歴史家、哲学者
英文
“Opposition always inflames the enthusiast, never converts him.”
日本語訳
「反対は、熱狂者の心に火をつけはしても、決して彼を改心させはしない」
解説
この言葉は、熱狂的な信念を持つ者に対して、真正面からの反対や否定はむしろその信念を強化してしまい、考えを変えさせることはできないという心理的真理を指摘している。シラーは、人間の情熱や信念が理屈や対立によって容易に崩れるものではないことを見抜いており、この名言は、議論や説得のあり方に対する深い洞察を含んでいる。
啓蒙時代において、理性と対話によって人間は進歩できるという信念が広まる一方で、シラーは感情や熱狂が人間に及ぼす力も重視していた。熱狂者はしばしば、真理や理性ではなく、感情的確信によって動いており、そのような人物に正面から異論をぶつければ、理性的な対話ではなく、敵意や対抗心を呼び起こす結果になる。
現代においても、政治的・宗教的・社会的な分断の中で、信念を持つ人に反対意見を突きつけても、相手の考えを変えるどころか、かえって過激化や対立を助長してしまうことが多い。この名言は、人の信念を本当に動かすには、直接の反論ではなく、共感や理解を通した接近が必要であるという、対話と説得における知恵を教えてくれる。反対が火をつけるなら、対話は橋を架けるべきなのである。
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