「芸術家がその時代の子であることは疑いない。だが、その弟子となり、あるいは寵児となるならば、彼は災いである」

フリードリヒ・フォン・シラー(画像はイメージです)
フリードリヒ・フォン・シラー(画像はイメージです)
  • 1759年11月10日~1805年5月9日(45歳没)
  • ドイツ出身
  • 劇作家、詩人、歴史家、哲学者

英文

“No doubt the artist is the child of his time; but woe to him if he is also its disciple, or even its favorite.”

日本語訳

「芸術家がその時代の子であることは疑いない。だが、その弟子となり、あるいは寵児となるならば、彼は災いである」

解説

この言葉は、芸術家が時代の影響を受けて生まれる存在であることを認めつつも、その時代に迎合したり、流行に従ったりすることを厳しく戒めている。シラーにとって真の芸術とは、時代に媚びるものではなく、時代を超えて普遍的な真理や人間性を表現するものであった。したがって、「弟子」や「寵児」となることは、芸術家としての自律性と使命を放棄することに等しいとされる。

この考えは、18世紀末から19世紀初頭にかけての急激な社会変動と、芸術の政治的・大衆的利用に対する警戒心から生まれている。当時、革命やナショナリズムの高まりとともに、芸術はしばしば思想宣伝や権力の道具と化した。シラーはその中で、芸術家が時代に流されることなく、内的自由と理念に基づいて創作することの重要性を訴えた。

現代においても、芸術や表現が大衆の好みに迎合したり、マーケットや政治的立場に従属することは少なくない。この名言は、真の芸術とは、時代の子でありながらも、それを超えて人間の核心を問うものであるべきだという厳格で高貴な理想を提示している。芸術家は時代に生きる者でありながらも、その批評者・改革者であることが求められている。

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