「財布を盗めば犯罪、財産を奪えば大胆、王冠を奪えば偉業。罪が大きくなるほど、非難は小さくなる」

- 1759年11月10日~1805年5月9日(45歳没)
- ドイツ出身
- 劇作家、詩人、歴史家、哲学者
英文
“It is criminal to steal a purse, daring to steal a fortune, a mark of greatness to steal a crown. The blame diminishes as the guilt increases.”
日本語訳
「財布を盗めば犯罪、財産を奪えば大胆、王冠を奪えば偉業。罪が大きくなるほど、非難は小さくなる」
解説
この言葉は、罪の大きさが増すにつれて、逆説的にその行為が称賛されるようになるという、人間社会の皮肉な価値観を突いた警句である。小さな窃盗は軽蔑されるが、大きな権力の奪取となると、それが英雄的行為と見なされることすらある。シラーはこのような倫理的逆転に対して、冷静な批判と人間性への洞察を込めている。
この発想は、歴史において数多くの征服者や革命家の評価に見られる現象でもある。たとえば、ナポレオン・ボナパルトは共和国を簒奪し皇帝となったが、多くの人々には英雄視される存在であった。シラーの時代もまた、フランス革命による体制転覆と英雄化が進行中であり、この名言はそうした時代状況への鋭い批評とも読める。
現代においても、スケールの大きな違法行為や支配的行動が「実力」や「カリスマ」として容認される例がある。小さな不正には厳罰が下る一方で、大規模な汚職や権力闘争は政治的戦略として正当化されがちである。この名言は、人間社会の倫理基準が必ずしも一貫していないことへの警鐘であり、権力や成功の背後にある「正義」の再考を促すものである。
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