「大多数がそう言うからといって、そのことが正しい証明にはならない」

フリードリヒ・フォン・シラー(画像はイメージです)
フリードリヒ・フォン・シラー(画像はイメージです)
  • 1759年11月10日~1805年5月9日(45歳没)
  • ドイツ出身
  • 劇作家、詩人、歴史家、哲学者

英文

“It does not prove a thing to be right because the majority say it is so.”

日本語訳

「大多数がそう言うからといって、そのことが正しい証明にはならない」

解説

この名言は、真理や正義は数の多さによって決まるものではないという、シラーの深い倫理的懐疑と知的誠実さを表している。多数派の意見が必ずしも正しいとは限らず、むしろ思考停止や群集心理によって誤った方向に進むことがあるという警告が込められている。

啓蒙思想が花開いた時代に生きたシラーは、理性による個人の判断と道徳的自立を重んじた。彼のこの言葉は、民主主義的制度への全面的肯定ではなく、その危うさ、すなわち「数」による支配の危険性をも見据えた批判的な視点から出てきたものである。

現代でも、この警句は重要な意義を持つ。SNSで拡散された情報、ポピュリズム政治、あるいは大衆による一方的な価値観の押しつけなど、「声が大きい=正しい」とする風潮に抗うためには、個人が内なる理性と倫理に従って判断する姿勢が求められる。シラーのこの言葉は、真理は常に静かに、少数派の中に宿ることすらあるという事実を思い出させてくれる。

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