「運命の定めは、知恵に満ちている」

フリードリヒ・フォン・シラー(画像はイメージです)
フリードリヒ・フォン・シラー(画像はイメージです)
  • 1759年11月10日~1805年5月9日(45歳没)
  • ドイツ出身
  • 劇作家、詩人、歴史家、哲学者

英文

“Full of wisdom are the ordinations of fate.”

日本語訳

「運命の定めは、知恵に満ちている」

解説

この言葉は、人間には理解しがたい運命の出来事の中にも、深い叡智が宿っているという信念を語っている。偶然や不条理のように見える出来事であっても、それは何らかの内的秩序や必然に従っており、表面的な善悪や損得では測れない「意味」があるという考え方である。シラーは、人間の自由と運命の対立を詩劇のなかで繰り返し探究しており、この名言はその思想の一端を示すものと言える。

この発想は、ストア哲学やドイツ観念論とも共鳴する。運命は盲目の力ではなく、宇宙の理法や倫理的秩序と結びついており、そこには人知を超えた合理性があるという考え方である。シラーは、悲劇の中にも人間の尊厳や真理の顕現を見る詩人であり、この名言には、苦難の中にさえ意味を見出そうとする倫理的姿勢が表れている。

現代においても、人はしばしば、予測不能な不運や別離に直面する。そのようなとき、この名言は、目には見えない秩序や必然性を信じ、運命に対する信頼と受容の姿勢を取り戻させてくれる。それは諦めではなく、深いところで世界を信じるという、人間としての成熟の表れである。運命は気まぐれではない——それは時に苦いが、知恵に満ちた師でもある。

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