「大空が世界を抱きしめ、太陽がその光を分け隔てなく注ぐように、慈悲もまた、友にも敵にも等しく注がれねばならぬ」

フリードリヒ・フォン・シラー(画像はイメージです)
フリードリヒ・フォン・シラー(画像はイメージです)
  • 1759年11月10日~1805年5月9日(45歳没)
  • ドイツ出身
  • 劇作家、詩人、歴史家、哲学者

英文

“As freely as the firmament embraces the world, or the sun pours forth impartially his beams, so mercy must encircle both friend and foe.”

日本語訳

「大空が世界を抱きしめ、太陽がその光を分け隔てなく注ぐように、慈悲もまた、友にも敵にも等しく注がれねばならぬ」

解説

この言葉は、慈悲とは選ばれた者のみに向けられるものではなく、敵味方を問わずすべての人に等しく与えられるべきだという高い倫理的理想を説いている。ここでは、大空や太陽といった自然の象徴を用いて、分け隔てのない包容力を慈悲の本質として描いている。シラーは人間の感情に訴えかけながらも、理性と道徳に根ざした普遍的な価値を追求した思想家であり、この言葉にはその精神が強く表れている。

この名言にはキリスト教的な隣人愛の精神が含まれつつも、啓蒙時代の普遍的人間観にも通じる広がりがある。特定の宗教や国家、思想に限定されることなく、人間としての尊厳を等しく認め、そこに慈悲を注ぐことの意義が強調されている。これはシラーの文学作品、たとえば『群盗』や『オルレアンの少女』にも共通する主題である。

現代においても、対立や分断が深まる中で、慈悲や共感の感情はしばしば「味方」にのみ向けられ、「敵」には拒絶や憎しみが向けられがちである。しかし、この名言は、真の慈悲とは感情の好悪を超えた普遍的な倫理行為であり、平和と和解の基盤であることを力強く訴えている。自然のように、境界を作らず包み込むこと。それこそが、個人にも社会にも求められる慈悲のかたちである。

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