「愚かさに対しては、神々でさえも無力である」

- 1759年11月10日~1805年5月9日(45歳没)
- ドイツ出身
- 劇作家、詩人、歴史家、哲学者
英文
“Against stupidity the very gods themselves contend in vain.”
日本語訳
「愚かさに対しては、神々でさえも無力である」
解説
この言葉は、愚かさ――とりわけ思考を拒絶し、理性や対話が通じない頑迷さ――がいかに手ごわく、手の施しようのないものであるかを嘆いた警句である。ここでいう「愚かさ」とは、単なる知識の欠如ではなく、学ぼうとしない態度、自らの誤りを認めようとしない硬直した精神を指している。シラーはこの言葉を、戯曲『ドン・カルロス』または『メッシーナの花嫁』などと同様、人間の理性と感情の葛藤の中で提示したとされる。
この名言は後に、SF作家アイザック・アシモフが『神々自身』という小説の題名に引用したことでも広く知られるようになった。それほどまでに、この言葉は人類の文明、政治、宗教、戦争、あらゆる集団的愚行を説明する鋭利な洞察として受け継がれている。神々のような全知全能の存在でさえ、愚かさの前では無力であるという逆説が、皮肉と諦念を込めて語られている。
現代においても、誤情報、陰謀論、排他的イデオロギーが拡散しやすい社会の中で、理性的な議論が通じない場面は少なくない。この名言は、愚かさと闘うことの困難さを認めつつも、だからこそ知性と対話の火を絶やしてはならないという、苦くも重要な教訓を投げかけている。真に進歩する社会とは、愚かさに絶望せず、なお理性を信じ続けることにこそある。
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