「ただ倒した敵は再び立ち上がるかもしれない。だが和解した敵こそ、真に打ち負かされた者である」

フリードリヒ・フォン・シラー(画像はイメージです)
フリードリヒ・フォン・シラー(画像はイメージです)
  • 1759年11月10日~1805年5月9日(45歳没)
  • ドイツ出身
  • 劇作家、詩人、歴史家、哲学者

英文

“A merely fallen enemy may rise again, but the reconciled one is truly vanquished.”

日本語訳

「ただ倒した敵は再び立ち上がるかもしれない。だが和解した敵こそ、真に打ち負かされた者である」

解説

この言葉は、力で打ち倒した敵はいつか再び反抗するかもしれないが、心からの和解によって敵意を消し去った相手は、もはや敵ではなくなり、真に征服されたといえる、という深い人間理解を示している。シラーは暴力や力による勝利を超えて、人間の尊厳と理性による「和解の勝利」に価値を置いていた。この名言には、対立を超えるための最も強く、最も崇高な方法が示されている。

この思想は、シラーの劇作品にしばしば見られる「高貴な赦し」や「敵との精神的融和」の主題と一致する。彼は、報復や支配ではなく、相手を理解し、尊重し合うことで真の終結が訪れると信じていた。倒すことは簡単だが、和解するには相互の信頼、寛容、そして高い倫理が必要であり、そこにこそ真の勝利があるという逆説的真理が込められている。

現代においても、戦争、分断、対立の多い世界において、「打ち倒す」ことが平和をもたらすとは限らない。この名言は、最終的な勝利とは相手を消すことではなく、敵意そのものを終わらせることであり、それができたときこそ人間として最も成熟した到達点に立てるという力強い倫理的メッセージを与えてくれる。和解は敗北ではなく、最高の勝利なのである。

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