「いくつかの点で、神々は私たち人間から教えを受けることで利益を得られると考える十分な理由がある。私たち人間のほうが、より人間的なのだ」
- 1844年10月15日~1900年8月25日
- ドイツ出身
- 思想家、哲学者、詩人、古典文献学者
- 『ツァラトゥストラはこう語った』『善悪の彼岸』『道徳の系譜』などの著作で、従来の道徳や宗教、真理に疑問を投げかけ、現代哲学に多大な影響を与えた
英文
”There is in general good reason to suppose that in several respects the gods could all benefit from instruction by us human beings. We humans are — more humane.”
日本語訳
「いくつかの点で、神々は私たち人間から教えを受けることで利益を得られると考える十分な理由がある。私たち人間のほうが、より人間的なのだ」
解説
ニーチェはこの言葉で、人間の「人間らしさ」が、神々の理想的な性質と対比される中で一種の優位性を持っていると皮肉を交えて示している。神々はしばしば絶対的で冷徹な存在として描かれることが多いが、それに対して人間は感情や共感、他者への思いやりを持つ存在である。ニーチェは、こうした人間の「人間らしさ」こそが、神々に欠けている側面であり、神々が「より人間らしく」なるためには、私たちから学ぶことが必要だと主張している。
この見解は、人間性を強調し、神々や絶対的な存在とされるものに対して疑問を投げかけるニーチェの思想を反映している。例えば、神話や宗教における神々は、しばしば無慈悲で厳格な存在として描かれるが、私たちは人間同士の関係の中で育まれる共感や優しさを持っている。ニーチェは、この「人間的な徳」が神々の持つ冷徹な性質に勝るものであると見なし、宗教的な道徳や価値観を相対化し、人間の価値観や倫理観をより高く評価している。
ニーチェのこの言葉は、人間性の中にある共感や寛容さ、優しさを大切にし、それが神聖な理想をも超える価値であると考えるよう促している。人間は不完全であるがゆえに、互いに理解し合い、助け合うことで成長していく存在であり、その「人間らしさ」こそが真の価値であると示唆している。ニーチェは、絶対的な存在に疑問を投げかけ、人間の持つ美徳や人間性にこそ本質的な価値があると強調している。
感想はコメント欄へ
この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?