「悪は模倣によって尊敬を得るが、善は、特に芸術において、それを失う」
- 1844年10月15日~1900年8月25日
- ドイツ出身
- 思想家、哲学者、詩人、古典文献学者
- 『ツァラトゥストラはこう語った』『善悪の彼岸』『道徳の系譜』などの著作で、従来の道徳や宗教、真理に疑問を投げかけ、現代哲学に多大な影響を与えた
英文
“The bad gains respect through imitation, the good loses it especially in art.”
日本語訳
「悪は模倣によって尊敬を得るが、善は、特に芸術において、それを失う」
解説
ニーチェは、模倣が「悪」に対して尊敬を集める手段となり得る一方、「善」は模倣によってその価値が失われると指摘している。彼の見解では、特に芸術において、「悪」や「低俗」なものは模倣されることで権威や評価を獲得し、一般に浸透しやすくなるが、真に価値のある「善」や高尚な作品は模倣によってその独自性が失われ、陳腐化してしまう傾向があると考えている。つまり、模倣が広がることで「悪」は普遍的な価値を持つように見え、「善」はその本来の価値を薄められてしまうのだ。
この考え方は、特に芸術や文化における独自性と普遍性のバランスについての洞察と関連している。たとえば、斬新で独創的な芸術作品は模倣されると、その本来の革新性や衝撃が失われ、ただの流行や形式として消費されやすくなる。模倣によって芸術の価値が形式的に捉えられると、深い意味や独自のメッセージが軽んじられ、真の芸術的な価値が見えにくくなることがある。ニーチェは、価値のあるものほど模倣に耐えられず、逆にその価値が失われやすいと指摘している。
ニーチェのこの言葉は、真の価値や独自性が模倣によって失われることを警告し、特に芸術においては安易な模倣によって本質が損なわれないように注意を促している。芸術における「善」や高尚な作品は、その独自性と革新性が評価されるべきものであり、模倣によってその価値が広く受け入れられるにつれて、本来の意義や深さが薄まってしまう危険がある。ニーチェは、模倣や大衆化によって価値が失われることなく、真の芸術を維持し続けることの難しさと重要性を強調している。
感想はコメント欄へ
この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?