「『悪人には歌がない』。では、ロシア人にはなぜ歌があるのか?」

フリードリヒ・ニーチェ
フリードリヒ・ニーチェの名言
  • 1844年10月15日~1900年8月25日
  • ドイツ出身
  • 思想家、哲学者、詩人、古典文献学者
  • 『ツァラトゥストラはこう語った』『善悪の彼岸』『道徳の系譜』などの著作で、従来の道徳や宗教、真理に疑問を投げかけ、現代哲学に多大な影響を与えた

英文

”’Evil men have no songs.’ How is it that the Russians have songs?”

日本語訳

「『悪人には歌がない』。では、ロシア人にはなぜ歌があるのか?」

解説

ニーチェは、この言葉で「悪」と「文化」の間にある複雑な関係を皮肉交じりに指摘している。一般的な発想として、悪人や道徳的に劣った者は豊かな文化や芸術を生み出さないと考えられる。しかし、ロシアには豊かな音楽文化があり、多くの民謡や情感豊かな歌が存在している。ニーチェは、この矛盾を通して、単純に「悪」と「善」を分けることの難しさや、道徳的な評価が文化や芸術と必ずしも一致しないことを示唆している。

この皮肉には、ロシアに対する当時の偏見や誤解も反映されているが、ニーチェはそれをあえて引き合いに出し、「悪」や「文化」の本質に疑問を投げかけている。たとえば、ある国や民族が外部から批判されるとしても、その文化や音楽には豊かな情感や深い表現が込められていることが多い。ニーチェは、道徳的な評価がそのまま文化の価値を決定しないことを、この例で皮肉的に表現している。

ニーチェのこの言葉は、道徳的な善悪の基準が芸術や文化に与える影響について考えるきっかけを与えている。文化や音楽は、道徳的な評価とは別に、その社会や人々の感情や経験を映し出すものであり、一面的な見方では捉えきれない豊かさを持つ。ニーチェは、この皮肉な問いを通して、善悪の判断が文化の価値を決定づけるわけではないことを示唆し、複雑な人間の感情や経験を理解する視点の重要性を説いている。

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