「魔女について最も鋭い判断を下した者たちでさえ、そして魔女自身でさえ、魔女としての罪を確信していたが、その罪は存在していなかった。すべての罪もまた同様である」

フリードリヒ・ニーチェ
フリードリヒ・ニーチェの名言
  • 1844年10月15日~1900年8月25日
  • ドイツ出身
  • 思想家、哲学者、詩人、古典文献学者
  • 『ツァラトゥストラはこう語った』『善悪の彼岸』『道徳の系譜』などの著作で、従来の道徳や宗教、真理に疑問を投げかけ、現代哲学に多大な影響を与えた

英文

”Although the most acute judges of the witches and even the witches themselves, were convinced of the guilt of witchery, the guilt nevertheless was non-existent. It is thus with all guilt.”

日本語訳

「魔女について最も鋭い判断を下した者たちでさえ、そして魔女自身でさえ、魔女としての罪を確信していたが、その罪は存在していなかった。すべての罪もまた同様である」

解説

ニーチェは、人間が抱く「罪悪感」や「罪」という概念が必ずしも現実の罪ではないことを、この言葉で示唆している。歴史的にみると、中世ヨーロッパでは魔女狩りが盛んに行われ、魔女と疑われた人々が罪を着せられて処罰された。裁く側も魔女とされた側も、「魔女」としての罪が存在すると信じていたが、実際にはそれは社会が作り出した幻想であり、現実の罪ではなかった。このように、当時の「罪」とされていたものが、後世から見れば何も罪ではなかったという事例は少なくない。

現代においても、社会の偏見や思い込みによって「罪」とされる事柄がある。例えば、ある文化圏や宗教では禁じられている行為が、別の文化圏ではごく普通のものとされることがある。また、SNS上での炎上事件も、このニーチェの言葉と通じる部分がある。些細な発言や行動が誤解され、瞬く間に「悪」として扱われるケースがあるが、それが本当に「罪」なのかは疑問が残る場合も多い。

私たちは、罪悪感や罪の認識が社会や周囲の価値観に左右されやすいことを知り、安易に他者を罪に定めない慎重さを持つべきである。ニーチェのこの言葉は、他者の価値観に流されず、自らの判断で「罪」とは何かを見極める重要性を私たちに教えてくれる。

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