「宗教に関する争いや分裂は異教徒には未知の悪であった。なぜなら、異教徒の宗教は特定の信念ではなく、むしろ儀式や祭式に重きを置いていたからである」

フランシス・ベーコン
フランシス・ベーコンの名言
  • 1561年1月22日~1626年4月9日
  • イングランド出身
  • 哲学者、神学者、法学者、政治家、貴族
  • 近代科学の基礎を築く「帰納法」を提唱し、またイギリス経験主義の祖として後世に影響を与えた

英文

“The quarrels and divisions about religion were evils unknown to the heathen. The reason was because the religion of the heathen consisted rather in rites and ceremonies than in any constant belief.”

日本語訳

「宗教に関する争いや分裂は異教徒には未知の悪であった。なぜなら、異教徒の宗教は特定の信念ではなく、むしろ儀式や祭式に重きを置いていたからである」

解説

フランシス・ベーコンのこの言葉は、宗教の本質が異なることによって引き起こされる社会の混乱についての洞察を示している。彼は、古代の異教徒の宗教観には「争いや分裂」という概念が少なかった理由を、彼らの信仰が厳格な教義や思想体系に縛られず、主に儀式や形式に基づいていた点に見出している。この観点から、ベーコンは宗教における思想や信念の絶対視が人間同士の対立を生む一因であると指摘している。

異教徒の宗教は、地域や文化ごとにさまざまな神々を崇拝し、儀式を通じて神々や自然との調和を求めるものであったため、他者の信仰に対して寛容な傾向が強かった。彼らにとって重要だったのは、日々の生活や共同体を維持するための形式や慣習であり、他者の信念と対立することは少なかった。これに対し、ベーコンが指摘する「争いや分裂」は、特定の教義や信念が唯一の「正しい」ものとされる宗教において顕著であり、信念に対する固執が他者との不寛容を生むと考えられる。

この考え方は、現代における宗教的な寛容の必要性を再認識させる。グローバル化により異なる信仰が混在する社会において、互いの信仰や宗教的な違いを尊重し、理解し合うことは重要である。ベーコンの指摘するように、宗教が特定の信念や思想に拘泥せず、儀式や文化の一部として受け入れられることで、争いや分裂を避け、平和で共存可能な社会が築かれるだろう。彼の言葉は、異なる信仰に対しても柔軟な姿勢を持ち、共存することの重要性を示している。

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