「古代の遺物とは、歴史が傷つけられたものであり、あるいは時の難破を偶然逃れた歴史の残骸である」

フランシス・ベーコン
フランシス・ベーコンの名言
  • 1561年1月22日~1626年4月9日
  • イングランド出身
  • 哲学者、神学者、法学者、政治家、貴族
  • 近代科学の基礎を築く「帰納法」を提唱し、またイギリス経験主義の祖として後世に影響を与えた

英文

“Antiquities are history defaced, or some remnants of history which have casually escaped the shipwreck of time.”

日本語訳

「古代の遺物とは、歴史が傷つけられたものであり、あるいは時の難破を偶然逃れた歴史の残骸である」

解説

フランシス・ベーコンのこの言葉は、古代の遺物がどのようにして今日まで残っているのか、その不完全さと偶然性を強調している。歴史のすべてが完全な形で現代に伝わることはなく、むしろ多くのものが損なわれてきたことを示唆している。歴史の断片性についての洞察であり、我々が過去を理解しようとするとき、その理解はあくまで限られた手がかりに依存せざるを得ない。例えば、古代エジプトやギリシャの文明も、現代に残っているのはピラミッドや彫像、古文書の断片であり、当時の人々の日常生活や思想のすべてが完全に解明されているわけではない。

この言葉が示唆するのは、歴史がもろく、常に欠けているという現実である。戦争や自然災害、文化の変遷によって多くの記録が破壊され、消え去ってしまった。現代の歴史学や考古学は、その限られた証拠をもとに過去を再構築しようとするものであり、それはあたかも失われた宝物を探し出し、わずかな手がかりから全体像を見出そうとする試みといえる。こうした視点は、現在の文化財や歴史的資料の保護と保存の必要性を再認識させる。歴史を学び、その教訓を生かすことは、未来への責任を果たすことであり、今あるものをいかにして守り伝えるかが重要である。

また、ベーコンの言葉には、歴史における偶然の役割についての示唆も含まれている。古代の遺物が残ったかどうかは必ずしも意図的なものではなく、時に自然の気まぐれや、偶然の出来事によるものが多い。例えば、ポンペイ遺跡が火山の噴火によって一瞬にして保存されたように、偶然が歴史の遺物を形作ることもある。これにより、現代人が過去を知る機会が生まれ、さらに深く考える機会を提供している。

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