「現在の世界経済秩序は、歴史上かつてないほどの略奪と搾取の体系を成している。そのため、人々はますます声明や約束を信じなくなっている」

- 1926年8月13日~2016年11月25日
- キューバ出身
- 革命家、政治家、弁護士
英文
“The existing world economic order constitutes a system of plundering and exploitation like no other in history. Thus, the peoples believe less and less in statements and promises.”
日本語訳
「現在の世界経済秩序は、歴史上かつてないほどの略奪と搾取の体系を成している。そのため、人々はますます声明や約束を信じなくなっている」
解説
この言葉は、グローバル資本主義体制に対するフィデル・カストロの根源的な批判と、民衆の政治的不信を鋭く描いた発言である。カストロは、富める国々が経済的・金融的制度を通じて発展途上国を搾取する構造を「制度化された略奪」として捉えており、国際通貨制度、債務、貿易条件などを通じて行われる現代的植民地主義を批判している。この視点は、IMFや世界銀行に対する南半球の国々の不満とも深く重なる。
「声明や約束を信じなくなっている」という一節は、国際会議や外交文書の形式的な言葉が、実際の行動や結果に結びついていないという民衆の経験的失望を反映している。とくにグローバル・サウスの民衆にとって、貧困、環境破壊、医療や教育の不平等といった現実の前に、先進国の美辞麗句は空虚に響く。カストロはその声を代弁し、行動のない約束は信頼を蝕むだけだという政治的真理を突いている。
現代においてもこの言葉は、グローバル経済の中で拡大する格差や、形式的な国際合意への不信の高まりと強く響き合う。SDGsや気候変動対策における実効性の問題など、「正義」を語りながら実際には構造的支配が続く現実を問い直す視座を与える。カストロのこの発言は、制度的偽善に対する鋭い批判と、真の連帯と改革への呼びかけである。
感想はコメント欄へ
この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?